軌道芸術研究会 ORBITAL ART LAB

宇宙工学や宇宙科学の専門家(研究者)と、 メディアアートやプログラミングの専門家(芸術家)の 学際的なコラボレーション。 人工衛星や宇宙機、惑星や天体の軌道データを、 柔軟かつ美的に表現するアプリケーションを共同開発し、 宇宙探査機の軌道設計や惑星形成研究に応用する。 人間の直感的な思考とコンピュータによるシミュレーションが協働する、 ハイブリッドな実験環境を構築し、 データの美的な表現から生まれる「軌道芸術」を探求する。

PROJECTS

Orbit-Drawer
汎用軌道描画ツール

OEM(Orbit Ephemeris Message)形式で記述された宇宙機の軌道情報を3D(立体)、アニメーション(動画)で、インタラクティブに表示することができるウェブアプリケーション。軌道を可視化するだけでなく、座標系や視点の位置を自由に変更することができ、表示方法(色や線の太さ)や投影方法をカスタマイズすることもできる。開発にあたっては、軌道の美的な表現と、使いやすく美しいインターフェイスのデザインに特に注力した。

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Particle-Plotter
大規模粒子系表示ツール

太陽系などの惑星系は、ミクロンサイズの固体粒子が合体成長をすることで惑星サイズまで進化する。惑星系の形成と進化の歴史を解き明かすために、粒子多体系の数値シミュレーションが用いられ、時間的に変化する数値データを準備することで、系の進化を動画表現できる。本アプリケーションは、CSV形式で記述された大規模な粒子(多体)系をアニメーション表示し、動画に書き出すことができる。CSVの任意のコラムの値を座標系として選択したり、色表示に使用することができる。投影方法を選択することもできる。粒子数は100万のオーダー以上が可能であり、ハードウェアの進化に伴って、今後の拡張が可能である。

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ABOUT

Logo

超小型宇宙機による革新的な深宇宙探査や、大規模な数値シミュレーションをベースにした惑星科学が、現在急速に進展している。本プロジェクトは、そうした宇宙工学や惑星科学研究の基盤となる、軌道設計および大規模シミュレーションデータの可視化ツールを開発する。軌道設計のためには、時空間的な宇宙機の位置(座標)情報だけでなく、軌道を生成する宇宙機や粒子の、さまざまな物理的パラメータとその相互関係を知ることが必要である。

本プロジェクトは、こうした動的で多次元な大規模データを、「美的に」可視化する表現方法に取り組む。美は部分の和を超えた総体を把握するゲシュタルトのひとつであり、分析と総合を結びつけるための触媒としての役割を果たす。データの美的表現によって、シミュレーション結果を人間の大局的な直感と結びつけ、新たなミッションの工学的提案や惑星科学に関する理学的発見につなげていく。

宇宙工学、軌道設計の専門家(研究者)と、メディアアートの専門家(芸術家)のコラボレーションによる学際的なチームを構築した。プロジェクトの成果を、科学的、技術的な有用性だけでなく、芸術的、美学的にも洗練したものにすることで、科学と芸術との異分野コラボレーションの新たな可能性を探究し、その成果を「軌道芸術」作品として社会に提示する。

MEMBERS

久保田晃弘

多摩美術大学美術学部メディア芸術コース教授

WebsiteTwitter
尾崎直哉

JAXA宇宙科学研究所・特任助教

兵頭龍樹

JAXA国際トップヤングフェロー

佐々木貴広

JAXA研究開発部門

菊地翔太

国立天文台 RISE月惑星探査プロジェクト 助教

平川紀道

アーティスト

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堂園翔矢

コンピュテーショナルデザイナー

Website
古山寧々

多摩美術大学大学院

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JKA 2022年度「深宇宙探査軌道の芸術表現と軌道設計への応用」補助事業